歯周病
その症状、
歯周病が原因かもしれません
「歯ぐきが腫れている」「歯ぐきから血が出る」「歯がグラつく」「歯が浮いた感じがする」という症状は、歯周病のサインです。 重症化するとお口だけでなく全身の病気やトラブルにつながるため、早めの受診をおすすめします。
歯周病とは?
歯周病とは、歯の周囲の組織が感染する病気の総称です。 基本的には「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられ、よく耳にする歯槽膿漏は歯周炎のことで、専門用語ではありません。
歯と歯ぐきの境目には歯肉溝とよばれる溝が存在し、健康な方で1〜2mm、3mm以上みられると異常があるとして「歯周ポケット」と呼び名が変わります。深さによって進行状況が把握できるため、定期検診には歯周検査が項目に含まれています。 歯肉炎と歯周炎のちがいについて、さらに詳しくみていきましょう。
歯肉炎
歯ぐきにのみ感染の影響がみられる状態を指します。主な症状は歯ぐきの軽い腫れと出血で、基本的に痛みはありません。
小さなお子様でもなりやすく、原因は歯ぐきの磨き残しです。歯が生え変わる6歳以降はとくに歯肉炎が多く発生しやすいため注意しましょう。 感染が広範囲にみられない歯肉炎は、お手入れ方法の改善と数回のスケーリング(歯石除去)だけで治療ができます。
歯周炎
歯ぐきだけでなく、歯根膜や歯槽骨などほかの組織にも感染の影響がみられる状態を指します。歯ぐきの腫れが悪化して出血量が多くなり、歯周ポケットに血液を含んだ黒い歯石がたまるようになります。口臭が強くなるのも歯周炎の特徴といえるでしょう。 歯周ポケットが6mmを超えるものが多くなり、歯のグラつきや排膿(膿がでること)もみられるケースも少なくありません。
歯周病はたとえ悪化しても強い痛みを感じることはほとんどないため、歯のグラつきなど分かりやすい症状がでてはじめて検査を受ける方も多くいます。歯周炎に進行すると治療の痛みがでやすくなり、期間も長引きます。治療をおこなっても改善がみられずに抜歯となるケースもゼロではありません。 歯周病で歯を失わないためにも、定期的に検査を受けて悪化を防ぐようにしましょう。
歯周病は、その他の病気を発症するリスクもあります
歯周病はお口の中だけでなく、全身に影響する病気です。悪化すればそのぶんリスクは高くなるため、注意しなければいけません。 引き起こされやすい病気やトラブルは以下のとおりです。
糖尿病
歯周病と糖尿病は相互関係にあり、とくに注意が必要な病気です。 歯ぐきに炎症がおこることで発生する化学物質が全身にまわり、インスリンの働きを阻害して糖尿病が引き起こされます。糖尿病で高血糖になると、歯を支える歯槽骨の吸収が早まるため、歯周病も悪化します。
心臓病
歯周病菌によって動脈硬化が誘発されることが分かっており、心臓内の血管でおこれば狭心症や心筋梗塞につながります。
早期低体重児出産
歯周病で炎症物質が全身にまわると陣痛を促進することが分かっています。 早産や低体重児出産のリスクが上がりますが、妊娠中はホルモンバランスの変化によって通常よりも歯周病になりやすい状態でもあります。 歯周病によるトラブルを避けるには、妊娠前からの歯周病予防が欠かせないといえるでしょう。
誤嚥性肺炎
飲食物が胃ではなく肺に入ることを誤嚥(ごえん)といい、それによって引き起こされる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。お口の中の汚れが飲食物と一緒に入ることでおこるため、菌が増殖しやすい歯周病には注意が必要です。
歯周病検査の流れ
歯周病検査は、歯周病の有無や進行度を調べるための検査です。視診では分からない情報を器具や機材を使って調べます。
レントゲン検査
レントゲン検査では、歯根膜の状態や歯槽骨の減り具合、歯周ポケット内の歯石の有無などが分かります。 一目で全体の歯周病の進行具合を把握できるパノラマレントゲンは、数年に1度の撮影がおすすめです。
プロービングによる検査
プローブとよばれる器具を使って歯肉溝の深さを調べる検査です。 チクチクとした感覚がありますが、健康な方や軽度の歯周病ではそこまで強い痛みはでませんのでご安心ください。 定期的におこなうことで歯周病の進行具合を把握できます。
歯周病治療
歯周病の基本治療は、スケーリング(歯石除去)とブラッシング指導です。 歯垢や歯石は歯周病が進行する原因であり、とくに歯ぐきの中に入り込んだ縁下歯石は悪化を早めるため注意が必要です。 歯科医院でおこなうスケーリングの内容について、さらに詳しくみていきましょう。
歯肉縁上スケーリング
歯ぐきより上に付着している歯石を「縁上歯石(えんじょうしせき)」といいます。 見た目が白っぽく、小さなお子様でも付着しやすい歯石です。 スケーラーとよばれる器具や機械を使って簡単に除去できます。施術中の痛みはそれほど強くはありません。
歯肉縁下スケーリング
歯ぐきより下(歯ぐきの中)に付着している歯石を「縁下歯石(えんかしせき)」といいます。 白だけでなく血液を含んだ黒っぽい歯石も存在し、歯周ポケットが深ければそれだけ付着する量が増えます。 スケーラーに加えて、キュレットとよばれる器具も使用します。歯周ポケットが深すぎて歯石がしっかり除去できないと判断した場合は、歯ぐきを開いて徹底的に汚れを除去する外科手術が必要です。